栄養や運動はどちらも健康を保つには重要です。栄養学によるアプローチで病気の治療の効果を高められると考えられ、多くの医療機関で医師や看護師、薬剤師や理学療法士など病院内の多職種が栄養サポートチーム(NST)を組織しています。リハビリテーション分野でも、適度な運動にその人の状態に合った食事や栄養素を組み合わせると、より運動の効果が高まることを明らかにする研究が進んでいます。一方で、高齢者や傷病者では、栄養不足から飢餓状態に陥る方も多く、サルコペニアと呼ばれる筋肉がやせ衰える病態への対策が理学療法士への新たな課題となっています。
この講義では、栄養と運動の知識もとに、高校生のみなさんにも応用可能な健康なカラダづくりについてお伝えしたいと思います。
~ヒト・人の生活・地域を支える...それが理学療法士の仕事~
皆さん、リハビリテーションと聞いて何を想像しますか?訓練とか運動を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、リハビリテーションとは、もっと大きな概念です。簡単に言うと「再び、その人らしく生活していくための取り組みの全て」ということになります。次に、理学療法士と聞いてどんなイメージを待ちますか?病院で、ケガをした人や病気になった方々の筋力や体力といった運動機能や、立ったり歩いたりといった日常生活での運動能力を高める仕事を思い浮かべがちですが、仕事の範囲は様々です。病院での勤務をする人以外にも、筋力や柔軟性を高めるためのメカニズムや脳の機能を研究する人、企業やプロスポーツ選手と契約してアスリートの支援をする人、高齢者や障がいをお持ちの人々のための施設に勤務する人、訪問リハビリを行う人、市町村の役所に勤務する人...。時代の変化とともに、理学療法士の活躍の場はどんどん変化し拡がってきています。対象となる方も、子供から大人、そして高齢者に至るまで様々です。本講義では、理学療法士の仕事や実際の現場でのお話を皆さんにお伝えしたいと思います。