言語聴覚療法学科
「話す」という動作ができる動物は、ヒト以外ほとんどいません。動物の身体の“かたち”は、それらの“はたらき”を生み出す上で大切な要因の一つです。この授業では、ヒト特有の「話す」という“はたらき”を、口、喉、鼻の“かたち”から皆さんと考えてゆきます。
教授
下村 敦司しもむら あつし
皆さんは、ひらがなや片仮名、漢字の読み書きに苦手さを感じたことはあるでしょうか?高校で習うような難しい漢字は別としても、小学2年生頃にはひらがなはすべて読め、漢字の読み書きも習得していったと思います。しかし、知的な発達の遅れがなく、聞いたり、話したりする口頭言語には問題がないのに、文字を介した文字言語の習得とその使用に困難さを持つ子どもさんがいます。この講座では、そんな子どもさんのお話をしたいと思います。
橋本 竜作はしもと りゅうさく
「きこえ」はお母さんのお腹にいるときには完成し、音と人との関わりは生まれる前から始まっています。子どもたちは多くの音のシャワーを浴びることで「話しことば」を獲得し、コミュニケーションを学んでいきます。そして、コニュニケーションを通して判断や解釈を深めていくのです。みなさんは「きこえない」環境を想像したことがありますか?小さいことから「きこえない」ことで影響をうけることはどんなことでしょう?言語聴覚士には赤ちゃんからご高齢の方まですべての年代の「きこえ」に寄り添い、サポートをする仕事があります。あらためて「きこえ」について深く考えてみませんか?
才川 悦子さいかわ えつこ
私たちは普段、左右の手足を1つの個体として感じ、左右の手足を協調させながら一貫した行動をおこなっています。そしてこうした状況を当たり前のこととして捉えています。ところが、脳梁という脳の部位が損傷されると、右手での答えと、左手での答えの内容が異なるという奇妙な現象が起こりえます。それはまるで2つの人格が左右の手を介して別々に応えているかのようです。 具体的には一体どんなことが起こっているのでしょう。またなぜそんなことが生じるのでしょう。 本講では、脳の構造を学びながら、どんな現象が何故起こるのか、一緒に考えてみましょう。
中川 賀嗣なかがわ よしつぐ
言語聴覚士という名前から、「ことば」や「きこえ」の障害を診断・治療するイメージを持ちやすいのですが、実際には言語聴覚士の仕事は幅広く、人間の生活を支えている記憶力や注意力などの脳機能の検査や訓練も行います。記憶力や注意力をどのような方法で調べるのかを、実際に検査を体験しながら大脳の機能にかかわる言語聴覚士の仕事を紹介したいと思います。
田村 至たむら いたる
ヒトは情報を伝達したり意図を伝えたりするために話し、自分が楽しむため、他人を楽しませるために、歌います。話し歌うためにヒトがどうやって声を生成するのかについて、身体のどの器官をどのように使うのか、作り出された音がどのような性質を持っているのか、について基本的な科学的仕組について講義します。また、声を出す仕組みから声の障害がどういうものなのかということについても紹介したいと思います。
准教授
榊原 健一さかきばら けんいち
私たちの口や喉(のど)は、食べ物を飲み込むときと空気を吸うとき、共通の通路を使います。この講義では、飲み込む動作と呼吸がどのように協調しているか、そしてどのようにしてこれらの動作が切り替わるのかを簡単な実験と説明で理解しましょう。これにより、私たちの体がどれだけ複雑で精密に設計されているかが分かります。
永見 慎輔ながみ しんすけ
地球上に存在する870万種とも言われる生物の中で、ヒトだけが言語という非常に高度なコミュニケーション能力を持っています。ヒトの言語能力は、他の生物の情報伝達能力とどのように違うのでしょうか。そして、ヒトの祖先はいつ頃どのようにしてこの言語能力を獲得したのでしょうか。言語学・心理言語学の視点から明らかにされた近年の新しい知見を交えながら「言語の起源と進化」に関する諸説を紹介したいと思います。
福田 真二ふくだ しんじ
高校時代の私は、とにかく子どもに関わる仕事がしたいと考えていました。ですから、保育士になろうか小学校教諭になろうか迷っていたと思います。しかし心のどこかで「個」にもっと深く関われる仕事はないか、と考えていたこともありました。そんな時に目にしたのは言語聴覚士が子供にセラピーを行っている写真でした。現在、私は聴覚障害をもつ子どもに言語聴覚士として関わっています。新生児期から早期に難聴を発見するための検査や、その「個」に適切な補聴手段を考え、ことばを覚えるために必要な手段を選択し療育を行います。そして、それぞれのご家族が望む人生を歩めるように支援するのが私たち言語聴覚士の仕事です。模擬講義では小さな子どもにどのように聴覚検査をするのか、どのようにことばを学習する療育を行っているのかについてお話したいと思います。
講師
葛西 聡子かさい さとこ
皆さんは自分がことばをどのように獲得したか覚えていますか?子どもは1歳頃に意味のあることばをしゃべりはじめ、3~4歳頃には、ことばをつなげてお話しができるようになります。学校に入る頃には、ひらがなを拾い読みできるようになっています。けれども、何らかの理由で、ことばを話したり理解したりすることが難しいお子さんがいます。私たち言語聴覚士は、ことばの発達を評価し、それを解釈して支援・指導を行うことで、子どもたちの発達を促す仕事をしています。講義では、子どもの発達に関わる言語聴覚士の仕事を紹介したいと思います。
小林 健史こばやし けんじ
アフリカの草原に住むマサイ族の中には驚異的な視力(なんと10.0以上)を持つ人がいます。視界に遮るものが少なく、遠くを見ていることが視力の良い理由のひとつかもしれません。では、音を聴く力である聴力はどうでしょうか?彼らの住まいだと、夜中に猛獣が襲ってくるかもしれず、物音にはとても敏感になっていて、ひょっとしたら聞こえはとても良いのではないか?と考えられます。この講義では、マサイ族の耳の聞こえの能力を紹介しつつ、人が音を聞く仕組みや言語聴覚士の仕事のひとつである聴力検査方法について紹介したいと思います。
前田 秀彦まえだ ひでひこ
「食べる」という行為は、必要な栄養を体に取り入れる、味を楽しむ、食事の場面を通じてコミュニケーションを楽しむなど、健康と「生活の質」を保つためにとても大切なものです。残念なことですが、口や喉の機能を損なう病気になったり、年を重ねることによって「食べる」機能が上手く働かなくなってしまうことがあります。私たち言語聴覚士は、摂食嚥下障害と呼ばれる状態にある方を様々な方法で支えています。「食べる」仕組みについて触れながら、摂食嚥下リハビリテーションにおける言語聴覚士の役割について紹介したいと思います。
飯泉 智子いいずみ ともこ
私たちは毎日、無意識に声を使って他者とコミュニケーションをとっていますが、喉やお口の病気によって上手に話せなくなってしまうことがあります。この講義では、話しことばの仕組みを理解し、声を失ったり上手にお話しできなくなった方を言語聴覚士がどのようにサポートするのか紹介したいと思います。
柳田 早織やなぎだ さおり
子どもの言葉は年齢とともに発達していきますが、なんらかの理由で、言葉をはっきり話せない、思っていることを言葉で表現できない等の困り感を持っているお子さんがいます。小児分野で働く言語聴覚士は、そんなお子さんや家族の方を支えるために、遊びを通して言葉の訓練をしたり、お子さんが過ごしやすくなるような環境を作ります。講義では、実際に私たちがどのようにお子さんやその周りの方達を支援しているのか紹介したいと思います。
助教
辻村 礼央奈つじむら れおな
人間は「ことば」を使うことで自分の思いや考えを相手に伝えることができ、「ことば」を使ったコミュニケーションには人と人とをつなげる役割があります。「ことば」を生み出すのは脳であり、脳の病気によって生じる失語症は、それまで自由に使えていた「ことば」を話すこと、理解することが難しくなります。失語症のある人は自分の思いを「ことば」で相手に伝えることができなくなり、それまで暮らしていた世界とは別の世界に迷い込んだように感じ、疎外感を感じてしまいます。言語聴覚士は、失語症のある人たちが再びコミュニケーションをとることができるように、脳科学とコミュニケーション科学の視点から失語症のある人を支援していきます。模擬講義では、失語症のある人へのリハビリテーションの実際をお話しします。
若松 千裕わかまつ かずひろ
言語聴覚士は、「話す、聞く、食べる」障害に対するリハビリテーションを行う専門職です。障害をもつ方々の年代は子どもから高齢者まで幅が広く、またそれぞれの障害の原因も様々です。そのため、活躍の場は、病院以外に保健施設、福祉施設や教育機関など多種多様です。また、超高齢化や医療の高度化といった社会背景をもとに、言語聴覚士のニーズはますます高まっています。 本講義では、仕事内容や実際の現場など、言語聴覚士について詳しくお話します。 ※講師は言語聴覚療法学科の教員から手配します。
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