作業療法学科
新型コロナウイルスの感染防止のために、外出や人との接触などさまざまな行動が制限されるようになりました。その時に感じる気持ちは、病気や障害を抱えてしまっている人に生じている、不自由さやバリヤにさいなまれている心境に近いと推察されます。 作業療法の視点や観点では、日常生活や家事、仕事、余暇活動などにまつわることすべてを「作業(Occupation)」といいます。人間は作業的存在であり、“自分らしく生きること”の中心には、その人に特有な価値や意味を持つ作業があると考えられています。大切な作業が思うようにできないことは、無力感につながり、大きなストレスを伴うことから、健康状態の悪化につながることがよく知られています。改善のためのキーポイントは、再び意味や価値のある作業が遂行できた実感が、内面に生じる「自信」へとつながっていくことです。
教授
鎌田 樹寛かまだ たつひろ
人は生まれてから死を迎えるまで、様々な場面で音楽に出逢います。また、私たちの日常生活には、ありとあらゆる音楽が溢れています。なぜ私たちの生活にそんなにも音楽があるのでしょう。 実は、私たちは言葉を獲得する前から音楽的コミュケーションを駆使する「音楽的存在」であることをご存知ですか?音楽療法は、音楽のもつ身体的、認知的、心理的、そして社会的な働きを用いて、私たちのウェル・ビーイングを促すものです。ぜひ音楽療法を学びながら、音楽と私たちの深いつながりについて学びましょう。実際に音楽を使いながら、体験的に学ぶことができると良いと思います。
近藤 里美こんどう さとみ
生活不活発病とは「動かない」状態が続くことにより、心と体の機能が低下して「動けなくなる」ことを言います。特に高齢者や持病のある方は「生活不活発病」を起こしやすいと言われています。身近な生活の中で「生活不活発病」を予防できる方法は運動や栄養のコントロールなど様々ですが、作業活動という新たな視点から、日々の作業バランスを考えてみませんか。そこには今まで気づかなかった新たな発見があるかもしれません。
坂上 哲可さかうえ てつよし
医療や福祉の現場で活躍する作業療法士は、対象者が豊かで生き生きとした生活を送れるよう、「作業」を用いて関わります。「作業」には、日常生活活動、家事、仕事、趣味、遊び、対人交流、休養など、人が営む生活行為と、それを行うのに必要な心身の活動が含まれるのですが、この「作業」において「音楽」が用いられることがことあります。本講義では作業療法の中の音楽または音楽活動の役割についてお話ししていきたいと思います。
浅野 雅子あさの まさこ
病気になって体や心が思うように動かなくなると、活動の楽しみが激減します。そのような人であっても、活動を楽しむにはどうしたらよいのでしょうか。その前に、そもそも活動の楽しさとは何なのでしょうか。本講義では、最近明らかになった活動の楽しさや、楽しさの効果について、実例を通してみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
本家 寿洋ほんけ としひろ
はじめに、一人一人にとって興味があること、してみたいことを振り返ります。次に、興味があることやしてみたいことが上手く行えているか、行えていないのか考えてみます。最後に、興味があることやしてみたいことの大切さを具体化することで、日常生活を丁寧に過ごすことを再認識する機会としたいと考えています。
講師
浅野 葉子あさの ようこ
作業療法士はさまざまな疾患や障害を抱えている方が、安心して生活できるように病院や施設以外でも働いています。それはどのような仕事なのでしょうか?この講義では、「訪問リハビリテーション」という仕事について紹介しながら、生活を支援する作業療法士の仕事についてお伝えします。また、障害者の方が地域で生活する際に抱える困り事にも触れ、誰もが住みやすい社会とは何かについても考えていきたいと思います。
朝日 まどかあさひ まどか
日本における10代から30代の若者の死因第1位が「自殺」であることをご存知ですか?国際的には、15~34歳の死因第1位が自殺となっている国は、G7の中で日本だけです。自殺の原因には、学校問題、勤務問題、家庭問題など様々ありますが、自殺者の多くは何らかの精神疾患を抱えていることがわかっています。つまり、精神疾患の発症予防が自殺予防にもつながります。この深刻な問題を皆さんと一緒に考えることができれば幸いです。
児玉 壮志こだま そうし
ヒトが人であるために必ず持っている器官、「脳」はその形や機能も含めて人によって実に様々です。作業療法ではこうした脳が障害された時に生じる注意障害や記憶障害など、様々な困難さがある患者さんに対してリハビリテーションを行うことが多くあります。一方でこうしたリハビリテーションの効果を裏付けるために、様々な脳機能(認知機能)に関する研究が日夜行われており、外見をパッと見ただけではわからない脳という複雑な器官の解明が進んでいます。これらの知見は、もちろん病院などに入院している患者さんへのリハビリテーションに応用できるものですが、同時に健常な脳の中、学校や普段の生活の中で起こっている現象についても多くの示唆を与えます。そして、それらの知見の中には「より『賢く』お勉強をするためにはどうしたらよいか?」のヒントも隠されているかもしれません。 高次脳機能、神経心理の領域に携わる作業療法士の観点から、皆さんの身の回り…特に「お勉強」と脳の関係性について、現在知られているトピックスを取り上げつつ、皆さんの日常生活とリハビリテーションの理解を繋ぐお手伝いをさせて頂きます。
桜庭 聡さくらば さとし
「からだ」と「こころ」は繋がっている、ということを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。「からだ」の不調は「こころ」の不調をもたらしますが、その逆も然りです。このような「からだ」と「こころ」の関係を「心身相関」と言います。近年、「心身相関」に着目した身体・心理症状へのアプローチ方法が注目されており、リハビリテーションへの応用が期待されています。「心身相関」に着目した現存するアプローチ方法をお話しするとともに、どのようにリハビリテーションに応用できるのか一緒に考えてみましょう。
助教
齋藤 隆司さいとう りゅうじ
みなさんは「重症心身障害」という言葉を耳にしたことはありますか?「重症心身障害児・者」とは、重い身体の障害と知的な障害をあわせもつ方々のことを言い、生活することに多くの困難を抱えています。数々の困難を抱える「重症心身障害児・者」の方々やそのご家族が、どのようにしたらより良い生活を送ることができるでしょうか?そのためにはまず社会で暮らすみなさんが当事者の方々を知り、寄り添う気持ちを持つことが大事だと思います。私が作業療法士として、特別支援学校において重症心身障害児の支援を行ってきた経験を基に、少しでも重い障害のある方々について考えていただく機会となるような講義ができればと考えています。
依田 泰知よだ たいち
集合時間
1年生(4年生)
2年生(5年生)
3年生(6年生)
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合計