臨床心理学科
「こころ」の状態がどうなっているのか直接、目で見たり、触って確かめたりはできません。では、どうしたら、「こころ」の状態を知ることができるでしょう。皆さんもこのような体験をなさったことはあまりませんか。教室の前に出て発表するとき、胸がドキドキしたり、手に汗をかいたり、声が上ずったりしませんか。友だちから嫌な言葉を言われたとき、頭が熱くなったり、身体に力が入ったりしませんか。このとき私たちは緊張していると感じたり、不安になったり、怒りを抱いたりします。心理学のある領域(生理心理学)では、からだの変化を観察(測る)ことで「こころ」の状態を推し量る研究を行っています。講義では、実際にからだの状態を観察しながら「こころ」の状態を測定する研究の一部を紹介します。
教授
百々 尚美どど なおみ
「あなたはおっちょこちょいですか?」という質問に、あなたはどう答えますか?実はある意味では「はい」も「いいえ」も不正解なのです。なぜなら、「おっちょこちょい」というのは「辛さ」と同じように度合いで考えるからです。つまり誰もが「おっちょこちょい」で、その度合いが人によって違う、あるいは状況や状態によってそうなってしまうということです。この講座では、誰にでもある「おっちょこちょい」について心理学的に考え、その対策を学んでいきます。さらにメンタルヘルスの改善や悪化との関連についても紹介していきます。きっと皆さんの学生生活にも役立つはずです。
准教授
金澤 潤一郎かなざわ じゅんいちろう
“痛み”は、生活場面でよく経験するありふれた感覚です。しかし、痛みに強い人、弱い人と表現されるように、痛みの感じ方は人それぞれです。泣いている子どもに「痛いの、痛いの、飛んでいけ」というと泣き止む、夢中になると痛みを感じなくなる、あるいは痛む箇所を気にすると痛みが増す、という経験のある方は少なくないと思います。どうしてこのようなことが起こるのでしょうか?痛みは、単にからだの反応と思われがちですが、実は、心理学と密接に関係しており、痛みを強く感じさせる要素や長引かせる要素がわかっています。講義では、痛みの心理学的なメカニズムや痛みを上手にコントロールする方法を説明します。また、主な痛みの病気を紹介し、その病気に対する臨床心理学的な援助方法もお伝えします。
本谷 亮もとや りょう
障害を抱えた人や心の病の人、認知症のお年寄りなどに対して、音楽活動を通して様々な支援を行う活動が音楽療法です。この講義では、実際の音楽療法で行われる活動をいくつか体験してもらい、活動の目的や留意点などについて、具体的に理解を深めていきます。
今井 常晶いまい つねあき
人の心には、自分で意識できる領域だけでなく、意識できない領域もあると言われています。この講義では、そんな意識できない無意識の領域について説明し、具体的な無意識の例を挙げる中で、人の心の不思議さや人間行動を理解する難しさなどについて、身近に感じてもらえればと思います。
人は社会の中で生きる生物です。社会心理学は、社会的生物である人間を対象として、個人の心や行動はどのような条件でどのように働くのか、集団や社会でどのようにしてどのような現象が生じるのか、そして個人の心や行動と集団・社会がどのように影響し合っているのかを解き明かすことを目指す学問です。社会心理学では、社会的要因が人の心や行動にどのように影響を与えるか(例:他人がそばにいると仕事の効率がどう変わるのか?)や、さまざまな社会現象がどのようにして生み出されるのか(例:なぜ買い占めが起こるのか?)を明らかにすることを目指した数多くの研究が行われています。本講義ではユニークな社会心理学の研究知見のいくつかを紹介したいと思います。
講師
真島 理恵ましま りえ
中学生から大学生の頃に発症しやすい過敏性腸症候群(IBS)というお腹の病気をご存知でしょうか?実は、日本人のおよそ約15%程度の人がIBSの症状を有していることが分かっています。IBSとは、身体のあらゆる器官に物質的・物理的に障害や病変がないにも関わらず、①~③のお腹の症状が出現します。①お腹の痛みや不快感があること、②排便によってトイレに行く回数が変化すること(増えたり・減ったり)、③便の形状が変化すること(柔らかくなる・硬くなる)です。また、IBSはストレスや心理的な変化(不安やうつうつした気持ち)によってもお腹の症状が悪化するといわれており、腸(身体)と脳(心)がお互いに影響を及ぼしているといわれています。この講義では、IBS症状の悪化のメカニズムを紹介し、実際に不安や腹痛などの症状をコントロールする方法を紹介いたします。
西郷 達雄さいごう たつお
インターネット技術の進展によって日々あらゆる情報が大量にやりとりされています。豊かな生活を持続可能なものにするためにいかに情報を有効活用するか、そのために最近注目されているのがデータを分析し、新たな価値を産みだす「データサイエンス」という研究分野です。例えば、「年齢や性別でおすすめ商品を分けて広告したら売り上げが伸びた」というのもデータサイエンスから生まれた価値です。「データ分析」と聴くと大きなコンピュータを使って高度なプログラミングをして思われがちですが、最新のクラウド技術によってインターネット上で誰でも手軽にデータを分析し、多様な知見から新たな価値を産みだすことができるようになりました。基本的な活用方法をご紹介するとともにデータサイエンスを学ぶに欠かせない考え方を、ロボットを使って楽しみながら身に着ける方法も合わせてご紹介します。
西牧 可織にしまき かおり
やる気が出ない自分を変えたい、みんなで協力し合うにはどうしたらいい?やめたいけどやめられない……こんな心にまつわるお悩みを誰しも抱えたことがあるのではないでしょうか。でも実は、このようなお悩みは「こころ」の存在を仮定しない方が上手く解決できるかもしれません。このような立場をとる人は心理学の中でもとても珍しいのですが、「行動分析学」という学問ではこのような観点から、行動の問題に取り組んでおり、発達障害のあるお子さんへの療育においても応用行動分析学として一定の成果を上げています。普通の心理学とは一味違う行動分析学を一緒に学んでみませんか?
福田 実奈ふくだ みな
公認心理師は「心理的な問題、心の健康、心理社会的な困難、心理的リハビリテーション」に関わる専門職です。2017年に日本初の心理職の国家資格として誕生したもので、聞きなじみのある表現としては“カウンセラー”ですが、先に述べたさまざまな問題について、その原因を理解し、心理的支援や治療を提供することを仕事とします。支援の対象となる年齢層は幅広く、子どもから高齢者までで病院等の医療領域だけでなく、教育・産業・福祉・司法といった多岐にわたる領域で活躍しています。社会の超高齢化やストレス社会の拡大に伴い、公認心理師の需要は増加し、今後の活躍が期待されるとともに、社会的ニーズが高まっている職種です。 本講義では、仕事内容や実際の現場など、公認心理師について詳しくお話します。 ※講師は臨床心理学科の教員から手配します。
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